【深読】旧H×H3話

第3話「プライド×荒海×決闘」

※注意点
このシリーズはハンターハンターのアニメを深読みして、自分なりの感想をまとめたものになります。
そのため、主観的な意見が多く、証拠や根拠はあまりありません。
私が見て感じたことや気づいたこと、大切だと思ったことなどを正直に書いているだけのものですので、
十分理解した上で読まれることをおすすめします。
こういった感情や見方で見る人もいるのだと思っていただけたらば幸いです。

Aパート

・海鳥が飛びかうが、その一羽がナイフで殺されるシーン
 鳥は自由に飛ぶ姿から自由や解放、清々しさなどが表現の一部として見られる。
 そのような存在が殺されるという場面からは、これから雲行きが怪しくなるぞ、というメッセージがあるかもしれない。
 また、それとは別に船に乗るものたちの粗雑さも表現している。
 ちなみに、ナイフで殺す様子や乱暴な乗船者を見ても横になったまま動じずに欠伸をするレオリオからは、かなりの余裕を感じる。おそらく、野蛮な連中を相手にしても勝てる見込みが十分あるという自信から来ているものと考えられる。

・ゴンは船尾で魚釣り
 マイペースで周りに頓着がないことを表している。
 乗船者たちにも関心がなく、「今したいこと」に集中できるという性格がでている。

・クラピカがゴンに視線を送る
 修行に励む者やざわつく者たちがいる中で、「落ち着き」を見せているゴンに興味があると伺える。
 ただ、その後すぐに目を伏せたシーンがあることから、「子供だからだろう」と納得したのかもしれない。

・船長の登場とカッツォの戦闘
 船長のただならぬ雰囲気にクラピカもレオリオも気がつく。
 また、ここでカッツォの出番を増やしたのは、この話の大詰めで彼がキーキャラとなるためであると考えられ、最初から彼に対して視聴者への印象づけを狙っていたのかもれない。

・戦闘に全く動じず関心のない3人
 他の血の気の多い乗船客と綺麗に対比させることで、特別な3人だと認識させ、その他大勢が3人よりも取るに足りない者たちだと思わせるように仕上げている。

・容赦なく客を海へ放り投げる
 船長のためらいのなさからは、どうやらこの人には逆らえない、自分がルールだと考えているな、という緊張感を与えてくる。

・そのシーンの直後ゴンは魚釣りに勤しむ
 流石の船長も彼に近づく。興味が湧き、話しかけてみれば、嵐のことに気がつく。
 ゴンは山育ちとはいえ、海のこともよく知っているとわかるシーン。
 キメラ=アント編で漁船の話もしていたので、くじら島の港町には買い出しや遊び場として、訪れていた可能性がある。
 そうしていくうちに、海の様子もわかるようになったのかもしれない。GI編で船乗りからじゃんけんのコツを教わったりなどもしていたようであるし、船乗りと仲良くなっていたのなら、尚更海の知識はついているだろう。ただ、生来の自然への適応力や感知能力の高さも表現されている。
 また、鳥の言葉がわかる、というのは言語としてではなく鳴き声のニュアンスなのではないかと思われる。(※後日追記→原作にて「鳥言語がわかるのか!?」というセリフがあるため、言語として理解している可能性の方が高い。知識不足すみません)

・父親のことを聞かれる
 ここで初めて、ゴンは「尊敬」という言葉を使っている。おそらく、「子供を捨ててまでやりたい仕事をしている」という点や、カイトという立派な弟子がいる点から、その感情に至ったのだろうし、父親と同じ仕事をしてみたい、という原点になっている気持ちは、まさに「尊敬」をしていないと湧かないものだろう。それをきちんと自分で、父親を尊敬しているのだなとはっきり理解しており、口に出せるのはゴンの強みとも言える。
 そして、船長はゴンの背中を見ながら、ジンを思い浮かべる。まさにゴンの後ろ姿はジンのそれだったのだ。それくらいにゴンはすでにジンの何かを受け継ぎ、その素質を持っているし、やはり親子だと訴えかけるシーンになっている。

・嵐が来るとわかり、船員が帆を張る
 オケが飛んでくるも、レオリオに当たってオケの方が壊れる。ここからは、レオリオの頑丈さと、目を瞑ったまま全ての破片を避けるクラピカの危機回避能力の高さが伺えられ、2人とも常人とは違うとわかるシーンとなっている。「今年はちったあ歯ごたえがありそうだな」という船長の言葉も、それらを感じ取った上での発言だろう。

・嵐が来る直前、「セントエルモの火」が。
 オリジナルシーンだが、クラピカの頭の良さと、嵐の規模の大きさが同時に表現されている。
 また、「生きちゃ帰れねぇ」という言い伝えに「おもしれぇ」と返せるレオリオの度胸も描かれている。

・嵐で混乱する船内
 ゴンのバランス感覚の良さ、レオリオの体幹の良さ、クラピカの状況対応能力の高さが、周りの動揺と混乱が酷いぶん、よく伝わる。

Bパート

・船長が様子を見にくる
 ゴンは薬草の知識があり、人を気遣えることを表現。平然と身なりを整えるレオリオと、なおも寝続けるクラピカもまた余裕があり、嵐のダメージが3人とも全くないことがわかる。

・船長との問答
 ハンターを志す理由を、関係のない人間に話すのが嫌だというレオリオとクラピカ。
 確かに2人とも、自分の中の大切な核となる部分に触れる内容であり、そこを口に出さなければならないわけで、口を噤みたくなるのは十二分にわかる。
 初見時では「一体どのような事情が2人にあるのだろう」と好奇心を沸き立たせるいい場面だ。

・船長が実はハンター協会からの雇われハンターとわかる
 それならば仕方がないと、まずはクラピカが理由を話す。
 印象的なセリフに「死は全く怖くない。一番怖いのは、この怒りがやがて風化してしまわないかということだ」というものがある。この言葉通り、クラピカは復讐に取り憑かれ、蜘蛛の糸のようにがんじがらめにされてしまう。怒りさえ風化して瞳の回収だけが目的になっていたら、ヨークシンシティ編の時に人殺しの仲間入りもせずに済んだのかもしれない。
 しかし、現実は残酷で、クラピカの怒りは消えることはない。ここでのセリフは、クラピカの意志の強さ、恨みや悲しみ、そして怒りを最も簡潔に、そしてしっかりと表現しており、印象に残る。
 一方でレオリオも自ら理由を述べる。
 「俺はあんたの顔色を窺って答えるなんてまっぴら」と言いつつ、真の理由は隠したまま、金が理由だと嘘をつく。ここで正直に言わなかったのは、トラウマとも言える友人の死を、簡単にさらけ出せるような軽い気持ちでは決してないことが伺え、嘘をつくことで、どこかその大切な決心や想いを守っているようにも見える。

・レオリオとクラピカが決闘する
 ◾️呼び捨てにされたことにこだわるレオリオ
  大人気ないように見えるかもしれないが、彼なりにポリシーがあるのかもしれないと考えられる。
  というのも、この後クラピカを仲間と認め、心を開いて以降は「水くせぇ」と、今度は呼び捨てをすることを拒否している。つまり、呼び捨てにしていいのは「自分が認めた相手」と決めているのかもしれない。
  レオリオには自分の信念のようなものが複数ある。
  「嫌なことは決闘してでもやらない」
  「義理堅い」
  この2点はこれまでの話ですでにでてきている。皆よりも少し大人なぶん、生き方の軸のようなものがあるのだろう。信念はその軸の中核を成しているのだ。よって、呼び捨てにされたことは彼の生き方を否定されたことと同義であり、彼にとっては最大の侮辱。怒りが湧いても仕方がないことなのである。
 ◾️クルタ族への侮辱
  クラピカにとってクルタ族であることは、何よりの誇りであり、決して汚されたくはないことである。また、仲間のことも自分の一部、半身のように想う彼であるから、クルタ族のことを侮辱されることは身を切られるよりも重く、許せないことである。彼もまた、怒りを抑えられるわけがなかった。

・そのような2人を止めないゴン
 「その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるかを知れ」ミトがゴンに教えた言葉だが、この言葉は人間の核心をついていると言える。
 上記に示したように、怒りという感情から、2人の拘りや信念だってわかってしまえる。
 怒りは一番人を無防備にさせる感情だと私は考えていて、だからこそ、怒りの根源にあるのはその人の本心や形作る何か、だったりすると思うのだ。
 人が怒りを感じている時、その怒りの理由や何に対してなのかをしっかり理解することが、その人を知ることに結びつくのだと、ミトは言いたかったのかもしれない。そして、2人が怒っているということが、「大切なこと」のように思うと言い出すゴンも、それをどこか感覚的に理解しているのである。

・カッツォが波に攫われそうに
 全員がすぐに動くが、クラピカとレオリオは手を伸ばすものの間に合わなかった。しかし、その間を何の躊躇もなくゴンが身を投じてカッツォを掴む。咄嗟にクラピカとレオリオもゴンを助け、なんとか全員無事であった。ここでは、ゴンが2人をすでに信頼対象と見ていて、落ちるだろう自分を助けてくれると、自分を預けている点、目の前のことしか目に入らない点、身を投げてでも人を救える勇気、少なくとも3つの要素が表現されている。

・嵐が去り、3人で話すシーン
 レオリオ「ゴン、おめぇなんて無茶な真似したんだ」
 クラピカ「確かに無謀だ」
 レオリオ「俺たちが捕まえなかったら、おめーまで海の藻屑だぞ」
 ゴン「でも、掴んでくれたじゃん」
 この話で一番好きな会話だ。結果が良ければ全てよし、2人に自分の命を託すことに何の躊躇いもない、邪気のない彼に2人が驚くのも無理はない。ゴンの危ういけれど、言葉にし難いほどの彼の性格の良さがギュッと詰まっている。その後仲直りするクラピカとレオリオだが、人の命が関わる重大な出来事を協力して阻止したことで、両者に許す気持ちと仲間意識が芽生えたのかも知れない。

まとめ

この話ではゴン、クラピカ、レオリオ、3人それぞれの良さや性格の違いがはっきり描かれている。そのキャラクターの深掘りは見事で、しっかり3人の意思や想いが伝わる表現が多い。今回は原作にもあるキャラクターのセリフが光る回だと思っていて、上記にピックアップしたセリフは全て印象的だ。改めて、原作の素晴らしさに唸ってしまう。そしてそれをうまく表現してくれたことに感謝をしたい回と言えるだろう。

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