【深読】旧H×H4話

第4話「選択×近道×まわり道」

※注意点
このシリーズはハンターハンターのアニメを深読みして、自分なりの感想をまとめたものになります。
そのため、主観的な意見が多く、証拠や根拠はあまりありません。
私が見て感じたことや気づいたこと、大切だと思ったことなどを正直に書いているだけのものですので、
十分理解した上で読まれることをおすすめします。
こういった感情や見方で見る人もいるのだと思っていただけたらば幸いです。

Aパート

・船を降りた3人に手を振るカッツォたち
 他の船員たちも見守ってくれているところから、船長やカッツォが認めた=大切な客人と思って残りの船旅を過ごしたのかも知れない。
 また、手を挙げるカッツォに対して頭を下げるクラピカ→礼儀の良さ
 微笑みを浮かべ、手を軽く振るレオリオ→友人のような親近感
 声をかけつつ、大きく手を振るゴン→旧来の仲間のように考えているかのよう
 と、バラバラな雰囲気が3人それぞれの良さを言外に語っている。

・ザバン市が船長の教えてくれた行き先の一本杉とは真逆とわかる
 マシューが登場し、ここでも3人は別々の反応をしている。
 悪意もなくすぐに手を握るゴン
 何も返さないクラピカ(おそらくマシューの怪しさに気づいている)
 「こいつはちょっと変わり者」とフォローに入りマシューと会話をするレオリオ
 クラピカが少々、マシューに不満を与えたのを、サポートに回ったレオリオが少し意外だが、仲間の1人と認めつつあるクラピカのことをフォローに入るのは、レオリオの心情としては当然かも知れない。

・それでも一本杉を目指すゴン
 レオリオは「少しは人を疑うことを覚えた方がいいぜ」と忠告する。
 すぐに人を信用できてしまうのがゴンの良いところであり、逆に考えるとすると、簡単に人を疑うことをしたくないという気持ちがあるのかも知れない。
 一方、クラピカもゴンについていくという。「ゴンの行動に興味がある」とのこと。嵐を言い当てたり、無茶を平気でやりのけたり、決闘を敢えて止めなかったりと、頭が良く冷静な判断力のあるクラピカも計り知れないゴンの行動力は目を見張るものがあり、そしてクラピカにとってそれは不思議なほどで、好奇心をくすぐるのだろう。

・場面が変わり、二択の街に移る。
 アニオリではあるが、子供達が街の至る所でクイズを出し合う様や、街の描写が、不気味さ、様子のおかしさをうまく表現されていて、このシーンが一度先に挟まれることで、次に出てきた時に「これはさっきのシーンの街だ」と視聴者の既視感をそそり、注意を促すのに十分な印象を与えている。

・マシューが足を挫いたためゴンが背負ってやる
 クラピカは嘘だと気づいているものの、ゴンは途中で足をわざわざとめ、「薬草をとってくる」と寄り道をする。(後にわかるが、周りは獣や魔獣の類がいるというのに、ゴンの優しさはここでも崩れることはない)
 ゴンの人のために自分でできることは何でもしたいという心意気がわかる一方でクラピカの冷静さが際立つシーンになっている。

・サイの登場
 マシューを襲わんとするサイにゴンは近づく。クラピカは武器を構え、「すでに殺気立っている。やむをえん」と傷つけるしかないと思う。しかし、ゴンはそんなクラピカを止めて「縄張りを荒らされて気が立ってるだけだよ」「落ち着いて、何もしないから」と優しくいい含める。
 そう、なんとかしようとしている時、レオリオが走ってきてサイを殴打。
 サイはブチギレてゴンとクラピカは呆れる。
 しかし、ここは自分よりも数倍大きなサイをレオリオはゴンを助けるために、殴ったことになるため、仲間のために身の危険を顧みず、手助けしようとすることができる勇気と同時に(ギャグシーンにすることで)レオリの直情的で無鉄砲さも表現されていると言えるだろう。

・「いつまで道草食ってるつもりだ」とマシューが言う
 それに対し、ゴンは嫌悪感も何も感じず、「でも良かったじゃない。レオリオとも出会えたし、マシューさんの足もよくなったみたい」と微笑みさえも浮かべる。
 マイナスな事柄からも、良いことを見て、プラスに変えてしまうゴンの前向きさが出ている良いシーンと言えるだろう。

・街にたどり着く
 人がいっぱい隠れていることを、ゴンとクラピカの聴覚の鋭さを持って言い当てる。
 それに対し、何もわからないレオリオを、“一般人”と描くことで、(今後の展開を含めて)視聴者の良い代弁者となることをここで示している。

Bパート

・老婆にクイズが出され答えられなければ通れないとわかる
 「4人のうち1人が答えを知っていればいいからラクだよ」と、ポジティブに捉え場を和ませるゴン。
 それに対し、マシューは1人で受けると言い出す。レオリオはイラつくものの、クラピカは「放っておけ。前もって問題を聞いておけばこっちも参考になる」とマシューを受けさせる。クラピカの発言は頷けるほど説得力があるものが多く、的確に判断ができる能力をもっている子だと、このシーンだけで判断がつける。

・クイズ1(マシューが受ける)
 万人共通の答えがない問題に、レオリオは怒りを覚える。「ふざけんじゃねぇ!こんな問題、きちんとした正解なんてあるわけねぇ!」
 その時、何者かの悲鳴がクラピカとゴンにだけ聞こえる。おそらく、このシーンを活かすため街にたくさん人が隠れていることを気づくシーンを挿入したのかもしれない。

・クイズ2(3人が受ける)
 問題が出されるも、5秒間黙ったままだったゴンとクラピカ。そして、終了の合図とともに殴り掛かろうとするレオリオ。
 「てめぇ、面白がってんじゃねぇぞ!偉そうに。答えられなきゃハンターになる資格がないだと!?上等だ!手土産にこのババァ引っ掴んで試験会場に乗り込んでやるんだ。スカした審査員ともども全員ぶっ飛ばして説教してやらあ!」と激昂する。
 ここは原作にもある名シーンの一つと言えるだろう。明らかに納得のいかないことに対して、きちんと感情を丸出しにしてしまえるレオリオの素直さが率直に出ていて、見ていて清々しく気持ちがいいくらいに描写されている。

・種明かし
 正解は沈黙だった。答えなどない。それが答えだった。
 老婆に対し、きちんと謝るレオリオ。そんな彼に、老婆は優しく言う。「何を謝る必要がある。お前みたいなやつに会いたくてやってる仕事さ。頑張っていいハンターになりな」
 もはや、街の話全てが、クイズの真の意図に気付いたクラピカの頭の良さよりも、レオリオのことを認めてくれる老婆のこの一言で、彼の人柄を考えさせられる話になって幕を下ろす。

・クイズが終わったけれど、まだ考え続け、やはりわからないと言い出すゴン
 もうクイズは終わったんだぞ、と伝えるクラピカやレオリオに対し、ゴンは「でももし本当に大切な2人のうち1人だけしか助けられない場面に出会ったら……」と真面目に捉えていた。
 それが本当の狙いだとわかっていて考えた訳ではなかっただろう。しかし、今後のこと、未来を見据えることもできる子だということがわかる。
 物語の締めとなる老婆のセリフが続く。「どちらを選んでも本当の正解ではないが、必ずどちらかを選ばなくてはならない時、それはいつかくるかもしれない。あらゆる残酷な空想に耐えておけ。現実は突然無慈悲なものになるのだからな。いつかくる分かれ道に備えて」
 印象的なこのセリフだが、確かにこの後の展開に被る部分がある。
 2人のうちどちらかを、という明確なシーンはまだだと考えられるが、特にキメラ=アント編では無慈悲な現実に打ちのめされることばかりだった。細やかな伏線、と言うよりは、大きく張られた網のような伏線としてのセリフと捉えられ、この時点のことしか知らない初見の視聴者にとっては「きっと過酷なことがこの先起こるのだろう。いつ、どんなふうにやってくるのだろう」と心に影を落とすものになる。しかし、それが物語を締めくくり、続きを見たいと思わせるスパイスの一種となっている。

まとめ

今回の話は、クラピカが「沈黙が答え」を導き出すのが印象に残りやすいと思うのだが、私は今回見直してみて、レオリオが中心の回だと思い直した。あの怒りを吐き出すシーンとそれを認める老婆の一連のシーンは、レオリオにもハンターの素質がきっちりあり、彼にも十分試験を受けるに値する心根があるのだとわかるからだ。不公平な二択に対し、怒りという選択を選び、しかもそんな問題に答えられなければハンターになれないというならそれもいい。だが納得はしない、というレオリオの自分の気持ちに素直になれる部分がよく現れているのが、印象に残る素晴らしい回だったと思う。

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