【深読】旧H×H6話

第6話「ステーキ×マラソン×試験開始」

※注意点
このシリーズはハンターハンターのアニメを深読みして、自分なりの感想をまとめたものになります。
そのため、主観的な意見が多く、証拠や根拠はあまりありません。
私が見て感じたことや気づいたこと、大切だと思ったことなどを正直に書いているだけのものですので、
十分理解した上で読まれることをおすすめします。
こういった感情や見方で見る人もいるのだと思っていただけたらば幸いです。

Aパート

・キリコに案内された街に鳥が高く舞い上がる
 群れで飛んでいる様子から、何か目的地を目指して飛んでいる可能性が高い=ゴンたちの行く末(ハンター試験合格)が空高く果てしないものだということが暗に表現されていると見える。
 そして、それがいよいよ始まるのだという期待感も演出している。

・建物を見て胸を高鳴らせる3人
 ハンターを志望する3人は、個性はバラバラだが、試験会場を前にした時の興奮は同じだ。ここでは3人の一体感がわかる。

・しかし定食屋が目的地だった
 上記の建物とのギャップが色こいゆえに、唖然とさせられると同時に笑えるシーンでもある。
 クラピカでさえ、成り行きに任せるしかない様子を見るに、全く予想できていなかったことであると窺える。頭の良いクラピカもそうなのだから、視聴者もびっくりのシーンだが、ハンター試験本試験の始まりの「掴み」には十分過ぎるほどである。これ以上の驚愕な出来事がまた起きるのではないか、という期待がわく良いシーンとなっている。

・握手と「ありがとう」
 ゴンに「ありがとう」といって貰えて満足そうに帰るキリコ。ゴンのことを気に入っていたのが、さらに好感度が上がったと見える。キリコはナビゲーターだ。様々なハンターたちをこの会場に送ってきたのだろうが、あまりお礼を言われたことがなかった様子。ゴンの素直さと一度は戦った相手であるキリコでも、お世話になったことは変わりない。それをきちんと感謝として表現ができる心の持ち主だということを表現されており、短いシーンながらも、どこかほっこりとする良い場面だと言える。

・エレベーター内でゴンに「ハンター」のことを教える2人
 完全にクラピカとレオリオのハンターに対する印象や意見の焦点が違っていて、対照的なことを言う場面だ。しかし、そのおかげで一つの物事に対し、様々な視点をもつことの大切さや、視野が広ければ広いだけ良いのだと言うことが表現されている。ギャグシーンながらも、学ぶことの多い場面だ。
 また、ハンターについても「なんだかよくわからないが、すごい人」というほわっとしたイメージだったものが、名誉や財産も手に入り、その影響力も大きいのだという、とてつもない仕事だと理解を促してくれている。
 そして、対立するクラピカとレオリオを描くことで、2人の性格の違いと、対立しても仲間になって一緒にいることが、性格の違いが逆に相性が良いことを示してもいる。(これは性格は全く違うのに仲良くなるゴンとキルアにも言えることだろう)

・本試験会場に着く
 クラピカやレオリオは緊張をしているものの、ゴンは全く物怖じしていない。ただ人数だけに興味がある様子で、彼らの雰囲気や表情に気圧されている様子が全くないことから、ゴンの精神面での強さや、恐怖よりもその状況を楽しもうとする余裕が理解できる。

・トンパと会う3人
 トンパの自己紹介から試験を受けるのが「35回目」と言うことがわかる。クラピカとレオリオはその数字の意味を理解しているが、ゴンは「すごい」と感心する。
 ゴンはおそらく何度も落ちている、と言うこと(もはやそんな考えすら浮かんでない様子だが)より、何度も挑戦していることへの純粋な賛辞やそこまでの執念の方に好奇心があり、もはや好印象すら抱いているように感じる。ここでも、物事には色々な側面があり、良い面を見ることのできるゴン特有の真っ直ぐさが表現されている。

・ゴンを見つけるキルア
 「ふーん」と少し興味を持った様子。同じくらいの年頃の少年がいることに、少し感心ができたのだろう。

・ヒソカの登場
 ヒソカは受験生の1人を殺すと言う衝撃的な登場の仕方をする。ハンター試験には彼のように危険人物も何度でも参加が許されているし、悪人であっても受かることができると言うことを示す場面だ。(のちのヨークシンシティ編で幻影旅団のメンバー、シャルナークがライセンスを持っていることからもそれは窺える)

Bパート

・試験の開始
 サトツは「自分についてくること」を第一試験だと告げ、普通の歩き方で先導をする。この「普通の歩き方」であるのについて行くのがやっとであり、一苦労している面々の様子がサトツの超人的な脚力や基礎体力があること、人間離れしているように見えること、を示している。この人間離れした様子がのちのヌメーレ湿原でのやり取りに拍車をかけているのが面白い伏線となっている。

・マラソンのテストに対して
 「変なテストだね」と全く疲れも焦りも見せないゴンと、「持久力と精神力」も試されているとすぐに見抜くクラピカ。2人とも落ち着いた雰囲気であるのに、全く反応が違うのが見ていて面白い。
 しかもゴンは、トンパに「顔見知りの人もいるんでしょ!教えてよ!きっとみんなすごい人たちなんだろうね!」とベテラン受験生たちのことを聞く。すでに試験が始まっていると言うのに緊張感のカケラもない。その無邪気さと好奇心がゴンの良さにつながっている。

・キルアの登場
 レオリオたちが話している間をスケボーを使い追い越すキルア。
 そんな彼に対して、レオリオだけが怒る。視聴者から見ても、皆懸命に走っているのに、「ずるい」と思わせる場面であるし、レオリオの反応は普通であると思われるが、ゴンは「ついてこいって言っただけ」(だからずるくない)、クラピカは「原則持ち込み自由なのだよ」(スケボーは違反でない)とキルアを責めない。2人の言葉の分析力、読み取りの能力の高さがわかり、視聴者もハッとさせられる。
 また、ゴンはキルアを見てすぐに「ねぇ。君だれ?歳いくつ?」と聞いている。おそらく初めて出会う同い年くらいの少年の登場にワクワクが抑えられなかったのだろう。元々の好奇心の強さも相まっていると考えられる。
 少し場面が挟まったのち、キルアが「さっき名前聞いたな」とゴンに話しかける。しかし、ゴンは「答えたくなかったらいいよ。オレはゴン!」と返す。相手の気持ちを思いやれるゴンだから出てくる言葉であり、無理に聞こうとしない受け身の姿勢が改めて優しい子であるとわかる。
 ゴンから歳を聞いてスケボーをやめるキルアの描写は、同い年とわかって、少し張り合いたくなったのかもしれない。その後のレオリオが10代発言の流れはギャグシーンを挟むことでキルアが唐突に仲間に加わろうとしているのを、自然に見せてくれている効果があると考えられる。

・レオリオにピークが訪れる。
 走っていて限界がくると足が重く地面にへばりつくような感覚になると思うのだが、それを粘液のようなもので地面に絡みとられている絵で表現している点が、レオリオの疲労感をわかりやすく表している。また、同時にレオリオの絶望感も見て取れる。

・分岐点に行くレオリオ
 分岐の先に行けば回復できるかも、と言うトンパに連れられ向かうレオリオだったが、トンパの正体は新人潰しが目的で分岐に行くことも罠だった。
 それに気づいたわけではないが、やはり心配だとレオリオの様子を見に行くことにしたゴンとクラピカ。そして、何か思うところのあるキルア。
 錯綜する思いとピンチのレオリオで幕を閉じる。
 オリジナルシーンではあるものの、一次試験の面白みを追加してくれていて、原作を読んだ視聴者にも好印象を与えたのではと思う。
 旧は何かとオリジナルシーンが多いが、どれも素晴らしい出来栄えであり、スタッフの原作愛、キャラクターへの理解などがわかる。

まとめ

  今回はメインキャラとなるキルアの登場回とあって、キルアに関して気合が入っている様子が見られた。ジュースを飲んで毒が効かない、というシーンをカットする代わりに、トンパに対して敵意をむき出しにしていたり、どことなく危険な子だと言う印象を与えるように表現されている。あえてキルアの毒耐性を抜きにして軽い表現に抑えることで、今後のキルアに対する実力への期待感をそそらせ、興味深いキャラクターがまた増えたな、と視聴者に印象付けることを成功させている。
 オリジナルのシーンが多くとも、原作を壊していない部分はかなり評価ができるところであり、原作を読破済みの視聴者も楽しめるよう、工夫がなされていると感じられる。

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