【深読】旧H×H8話

第8話「奇術師×ほほえみ×猛獣注意」

※注意点
このシリーズはハンターハンターのアニメを深読みして、自分なりの感想をまとめたものになります。
そのため、主観的な意見が多く、証拠や根拠はあまりありません。
私が見て感じたことや気づいたこと、大切だと思ったことなどを正直に書いているだけのものですので、
十分理解した上で読まれることをおすすめします。
こういった感情や見方で見る人もいるのだと思っていただけたらば幸いです。

Aパート

・ヌメーレ湿原に辿り着つくと、サトツを「偽物だ」と言う男が現れる
 レオリオとハンゾーは「あの地下道での走り、人間離れしてると思ったんだよ」とサトツを疑いにかかる。それに釣られて、周りも同調し、サトツにジリジリと近寄り始める。
 クラピカはその集団心理を感じ取り、「まともな判断が下せなくなる」と焦るが、そこでゴンが「これってやっぱり試験なのかな」と呟いた。
 クラピカは冷静に物事や周りを見て今の状況を把握していたが、ゴンはその一歩外を引いてみており、周りの人間よりも、今置かれているそもそもの状況を感じ取っていたと言うことなのかも知れない。
 しかし、ゴン自身はそこまで深く考えての発言ではないだろう。皆の空気を感じて「なんとなく試されているのかも知れない」と思っただけだろう。

・ライセンスカードを奪われたと聞いて、ヒソカがトランプで攻撃を仕掛ける
 表面上、ヒソカは偽物を暴くために攻撃したと思わせる発言をしているが、その実、ハンターであり実力者のサトツを前に闘いへの興奮がわき出てきてしまったのだろう。
 実際、この後のシーンでキルアに「人を殺したくてうずうずしてる」と見抜かされている。さらにはこの時点でも、キルアとクラピカは「カードを取られたという発言だけで偽物とわかっていて敢えて攻撃した」旨を話している。殺さなくてもいい生物を殺したり、サトツをある意味試すかのような攻撃をするところから、「非常に危険で恐ろしい人物」だと、主人公たちだけではなく、視聴者の注目をもヒソカに向けることに成功させている。

・殺された猿の死体を見つめるゴン
 そんなゴンにサトツは「悲しむことはありません」と述べる。しかし、ゴンは恐らくくじら島とは自然の掟の形が違うことや、人が動物を殺すこと(またその逆)が日常であると言うことが気になっているのかも知れない。実際、物語の中盤でくじら島では狩りを禁止されていることからも、自然に生きる獣たちの命を、人間が勝手に奪っていいものではないと考えてきたのだろう。

・「ヒソカから離れたほうがいい」と助言するキルア
 続けて、「あいつとオレは同類だから」というが、ゴンは「そんな風には感じないけど」と言う。
 「それはオレがあの猿みたいに上手く化けてるからだよ」
 と意味深なことを告げる。
 ここでは、キルアも正直に話していると考えられるが、一方のゴンも正直に応えている。「感じない」と言うセリフから、ゴンは表面上の言葉や態度、雰囲気に流されず、自分の直感、フィーリングが先にくるタイプだと捉えられるだろう。
 キルアはキルアで、「そのうちわかるさ」と笑いつつ言うところから、「猫を被った自分」を剥ぎ取る時、本当の自分を見せる時、ゴンが一体どういう反応をするのか少し楽しもうとしている雰囲気もある。

・そんな真剣なやり取りの後、ゴンはすぐに後方の2人へ前に来たほうが良いとアドバイスをする
 ゴンとレオリオの2人のやり取りを聞いて、キルアは拍子抜けをする。「緊張感のかけらもありゃしない」
 キルアもまた、ゴンの危機感のなささ、怖い話を聞いても何一つ動揺を見せない彼に翻弄されているのである。

・「あの男のそばを走るほうがもっと危険だ」と警戒をするクラピカ
 キルアは仕事柄ということもあるだろうが、クラピカもまたヒソカの恐ろしさに気がついている。只者ではない、という印象がトンパからの話や偽物猿とのやり取り、さまざまなことが重なってか、強くなっている。
 「もっとペースを上げるべきだろうか」と考えるものの、レオリオの精一杯な様子に「見捨ててはいけないか」とやめておく。レオリオについていてあげる、という選択をしたのは、命の危険も感じるものの、レオリオのサポートをしなくては、と考えるクラピカに若干の余裕と優しさを感じる。

・ついにヒソカが周りの受験生たちを殺していく
 ヒソカのトランプさばきは目にも止まらない。レオリオもクラピカも止めに入ったり、間に入ることすらできない。ヒソカは人を殺しつつも、常に笑みを湛えており、佳境に入ると大笑いにまで発展している。ヒソカの狂人ぷりというべきか、常人と180度違う人物だということや、人を殺すことに躊躇がないばかりか、むしろ楽しんでいることなど、ヒソカの核心の部分を見事描き出している。
 ヒソカの複雑な動きを敢えてスローにしているが、そうしないと、ヒソカの人間離れした巧みな動きを表現できなかったのかも知れない。

・ゴンはレオリオたちを助けに向かう
 キルアは止めるが、結局行ってしまうゴンに呆れたのか、自分はついていこうとはしない。
 ゴンを信頼している様子がまだ感じられないため、そこまで「友人」としっかり認めてはいないのか、このシーンではキルアは一歩引いてゴンを見ていると考えられ、自分を優先している節がある。

Bパート

・ヒソカと対峙するクラピカ、レオリオ、ポックル
 3人バラバラに逃げようという意見が採用され、逃げるものの、結局レオリオは戻ってきてしまう。
 直前にヒソカには敵わないと言うクラピカに放った「やってみもしねぇで」という言葉から、何もせずに逃げるのは性に合わないと思ったのだろう。実際「こちとらやられっぱなしで我慢できるほど人間できちゃいねぇんだよ!」と木の棒でヒソカに殴りかかる。
 しかし、ヒソカは余裕でレオリオに応戦する。レオリオは無謀なのか、考えなしなのか?と思うかも知れないが、あのヒソカの殺しを目の前で目の当たりにしても、逃げずに立ち向かうということからはとてつもない勇気や根性、一種の正義感すら感じられる。
 やられてむかつく、という単純な思いもあったのかも知れないが、ヒソカにこの後のシーンで合格だと言わせるには不十分な理由とも思えるため、上記のような単純では収められない感情があったと考えられる。

・ゴンのレオリオを助けるための一撃がヒソカに当たる
 ゴンの初撃は当たったものの、他の攻撃は軽々とヒソカに避けられてしまい、ついには首を絞められる。恐らく、はじめの一撃はゴンの気配が全くせず、完全な不意打ちが成功したのだろう。ゴンは獣並みとも言える気配断ちができるほどだ。のちにヒソカも誉めている。
 ヒソカが合格を言い渡したのは、その素晴らしい一撃と、ゴンの瞳の奥に何かを感じたからだろう。この後のシーンでゴンはクラピカに「ワクワクした」と言うのだが、ヒソカはゴンのその気持ちがわかり、自分と同じものを、瞳の中に見たのだと考えられる。

・ヒソカを追いかける最中、ゴンに「罠かも知れない」と忠告はするクラピカ
 その言葉に、ゴンは躊躇う隙もなくすぐに「それでもレオリオを放ってはおけないよ」という。クラピカは満足そうに微笑む。ゴンにとって自らの危険よりも仲間の命の方が何倍も大切なのであり、最優先事項なのである。

・ヒソカが言った合格の意味
 クラピカはゴンに相談を受け、ヒソカはゴンに「同じ匂いを感じたのかも」と答える。すると、ゴンは足を止める。クラピカはすぐに「すまない。無神経なことを言ってしまって」と謝る。クラピカの誠実さが短く何でもないようなシーンであるのに感じられる良い場面だと言える。
 その後、クラピカにゴンは「殺されちゃうかも知れないギリギリの状態なのにさ、変だよね。オレ、ちょっとワクワクしてたんだ」と述べる。まさに、ここがヒソカが感じた同類の匂いであり、殺すには惜しいと思った原因だろう。

・ゴンの嗅覚
 おまけとして記しておくのだが、ゴンは並外れた感覚の持ち主であり、それは嗅覚にも表れている。クラピカとキルアに「犬だろ」と言わせしめるほど。新しく判明したゴンの野生の感覚、五感の鋭さに周りもびっくりである。

まとめ

  今回はヒソカがテーマであり、彼のシーンが印象的に描かれる話だった。人を殺しても躊躇がなく、恐ろしく悪魔のような存在のヒソカに気に入られるゴン(とレオリオたち)は、この後の展開をより面白くするもので、原作の物語構成のうまさに脱帽するとともに、ヒソカの狂気的な表現を上手く掴むアニメ表現も素晴らしかったといえよう。
 ヒソカはこの後の物語を良い方向にも悪い方向にも掻き乱す。彼の行動の行方にも目が離せない。

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